モーツァルト

熱中モーツァルト

Ipod4547597520239 還暦を祝って家内と子ども達から容量60Gのアイポッドを贈られました。シルバーのボディーに名前と「祝還暦」の文字が刻まれたもので、早速、図書館からCDを借りて来ては、大好きなモーツァルトの曲などをせっせと取り込みました。

彼の作品の研究家ケッヘルによって、ほぼ作曲年代順に全作品にケッヘル番号が割り振られていますが、最後が未完成のレクイエム、K.626です。オペラのように多数のアリアで構成される作品でも1つの番号ですから、正確な曲数は626を大いに上回ります。努力の甲斐あって、彼の曲目の殆どをアイポッドに取り込むことが出来ました。Popup_ae_large_01毎月のモーツァルト協会例会で演奏される予定の曲をプレイリストに入れては通勤時の車内で楽しんだりしています。

かなりの圧縮度にも拘わらず音質は極めて良好で、 これにボーズ社製の高性能ヘッドフォンを接続すれば、海外出張時の機内での無聊もモーツァルトの名曲で大いに慰められます。ただ、彼の曲の持つ「f分の1ゆらぎ」による癒し効果のせいか、聴き始めると間もなく睡魔に襲われてしまうのが「玉に瑕」です。

 Koshibaq ところで、モーツァルト愛好家の集まり、日本モーツァルト協会では、正会員一人一人に独自のケッヘル番号が割り当てられており、正会員数はケッヘル番号の数、626名に抑えられています。この数を超えると、正会員として入会が認められるまで待機会員とされます。(私の場合には、数年間、待機会員の身分を余儀なくされました。)しかし、ケッヘル番号の有無の違いだけで、正会員と待機会員に権利の差はなく、年10回開催される月例演奏会を楽しめます。例会には、ノーベル賞物理学者の小柴昌俊先生も見えたりします。 同好の友人や知人にも声を掛けた結果、これまでに孫会員も含め7名が正会員となっていて、Mozvonlange1_gh会員獲得に少なからぬ貢献をしたと自負しています。

2006年の生誕250周年を巡るモーツァルトブームも去り、一時期増加した会員数が大幅に減少し、待機会員の数も激減。今入会すれば、すぐ正会員になれる絶好のチャンスです。あなたも如何でしょうか。

甲斐 晶(エッセイスト)

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モーツァルト協会

 Mozart 1998年の7月4日、東京のイイノホール(残念ながら昨年末に閉館してしまいました)において日本モーツァルト協会の例会(コンサート)が行われました。通算第400回を記念するもので、海老澤敏会長(第3代)の挨拶に加え、関係者への感謝の品の贈呈などが行われたところで、モーツァルトの2つの管楽合奏作品の演奏に移行。N響首席奏者3名を含むN響団員を中心にしたメンバー構成で、さすがに素晴らしい演奏でした。

 日本モーツァルト協会は、Horiuthi11020勿論、モーツァルト(17561791)の音楽をこよなく愛する人々の親睦団体で、1955年に発足。特定音楽家の愛好団体として我が国では、草分け的存在です。発足の翌年、1956年には、モーツァルト生誕200年の記念行事を行っていますが、この準備のためにその前年に発足したという事情もあったようです。初代会長は音楽評論家の 堀内敬三氏で、2代目が属(さっか)啓成氏。1994年の属氏の逝去に伴って、現会長の海老澤敏氏に交代しています。Ebisawa002

 さて、皆さんご存じのように、モーツァルトの全作品には、年代順に整理番号(ケッヒェル番号:K)が付されています。協会員になるとこのケッヒェル番号が会員番号として与えられるのですが、ケッヒェル番号は無限ではなく、626番までですから、日本モーツァルト協会の会員数は、626人に限定。欠員が生じない限り会員は補充されず、会員になるのは至難の業です。しかも会員2名による推薦が必要とも聞いていましたので、とても無理だと初めから諦めていました。

 ところで、私の職場がたまたま例会の会場、イイノホールに近く、また、奥様が会員である職場の同僚が「残念ながら、今日は都合がつかないから」と入場券を融通してくれたことから例会に出向いたのが、私の日本モーツァルト協会との初めての出逢いでした。そこで初めて、会員でなくても当日入場料(臨時会員券)を払えば例会に参加できることを知り、以後、イイノホールの前に立てられる看板の案内を見ては、時折、例会に出たりしていました。Iinohall_top_1

 そうこうする内に、正(K)会員626名に加えて、準(T)会員という制度があることを知り、早速申し込みました。年会費は4万円で、これを一度に支払うのはなかなか大変なものがあります。しかし、年間に10回開かれる例会の入場料が毎回4,500円で、正及び準会員は無料で入場できることを考えれば、割安と見なすこともできます。

 例会では、当然のことながらモーツァルトの作品が中心。これに、彼とゆかりのある音楽家の作品が加わります。管弦楽あり、声楽あり、独奏曲あり、協奏曲ありとバラエティに富んでおり、また、時には、カウンター・テナーの米良美一氏Mera のような有名人が出演することもあって、とても充実した演奏会です。また、音楽もさながら、会場で配られる演奏プログラムを兼ねた会報に載る曲目解説(海老澤敏会長の手になることが多い)も、毎回読み応えがあります。さすがに名高いモーツァルト研究家の海老澤敏会長ならでは。大変に格調が高く、また蘊蓄に富んだ曲目解説で、毎回、読むのが楽しみです。

 ところで、例会の会場には残念ながら若者が少なく、年輩者の姿を多く見かけます。大概は、既に第一線からリタイアしているとおぼしき初老の男性が一人だけで来ていますが、白髪混じりの老夫婦も時たま見かけたりします。

 会員の高齢化が進んでいるとの嘆きが会報の記事にも散見するので、このままで行けば、準会員から正会員に昇格してケッヒェル番号を貰えるようになるのもそう遠くはないと、密かにほくそ笑んでいる私ですが、同じようにそう思って待っている準会員の数は、230人以上。しかも私は、そのウエイティング・リストの下の方なのです。

 私と同じ頃に準会員となった、某病院長の見立てでは、まだまだとても皆さんお亡くなりになりそうにはないとのこと。この分では、2006年のモーツァルト生誕250年記念の年までには正会員になれそうにもなく、こちらがリタイアメントを迎えてしまいます。そうなると4万円の年会費は応えるなあと、憂えていた私なのです。

  甲斐 晶(エッセイスト)

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モーツァルトの住家

 Salzburg1q ザルツブルグは、私の好きな町の一つです。イスタンブール、ナポリと並んで世界で最も美しい都市三つの中に挙げる人もいます。 Geburtshaus_vorderansicht_2

 学生時代、今から30年以上も前に、英国留学の帰路に立ち寄ったのが初めて。 定番のモーツァルトの生家を訪れ、その余りの質素さに驚いたり、0962kuecheimghゲトライド・ガッセの趣向を凝らした判じ物のような看板に興味をそそられたりしました。 Salzburg_4また、ミラベル宮殿の端正な庭園越しに遠くそびえ立つ城塞、ホーエンザルツブルグ城の姿に惹かれ、ケーブルカーで登った城塞の上から眼下に広がる眺望を堪能。大聖堂を中心とする旧市内の瀟洒な町並み、不思議にSalzburgmirabellgartenaltstadtfestu緑白色のザルツアッハ川の流れ、アルプスを彷彿させるような急峻な近くの峰々の姿が今でも印象深く心に残っています。

 その後、2度にわたるウィーン赴任中にも、春夏秋冬の折に触れ何度もザルツブルグを訪れたり、知人や友人たちを案内したりしましたが、その度に新たな発見をし、自然と歴史と芸術が融合したザルツブルグの美しさに魅了されました。

 Pd751204 特に好きなのは、現在美術館となってしまったカフェー・ヴィンクラーからの眺めです。旧市内の半分を包むようにそそり立つメンヒスベルクの岩盤をくり貫いて造られたエレベーターで昇ると、そこがカフェー・ヴィンクラー。そのテラスから、ホーエンザルツブルグ城をバックに、大聖堂を始めとする旧市内の種々の教会の塔や屋根が競い合うように並ぶ姿はとても美しく、いつまで眺めていても飽きませんでした。モーツァルト没後200年記念レクイエム公演を聴きに訪れた際にそこから撮った、雪降る中に幻想的に浮かぶ旧市内の写真。時折、部屋に飾って見る度に、ザルツブルグの素敵な思い出が新たになります。

  Mozart_wohnhaus さて、旧市内にあるモーツァルトの生家ほどの人気はありませんが、生家が手狭になったために一家が転居し、その後7年間にわたって住んだ住居、「モーツァルトの住家」がザルツアッハ川右岸、旧市街の外のマカルト広場にあります。

 第2次世界大戦中の空襲で破壊され、その後、一部修復されてはいましたが、だだっ広い部屋にピアノがぽつんと置いてある程度の展示物。訪れてもあまり感激が少ない、みすぼらしいものでしたが、住家の所有者、国際モーツァルテウム財団1989年以来、復元事業を開始し、世界各国の篤志家からの寄付を得ました。モーツァルトの時代の姿にようやく甦って、彼の240回目の誕生日、1996年1月27日に一般公開。丁度この年の4月に、チェルノブイリ事故後10周年記念の専門家会合がウィーンで開かれ、これに出席したついでに、週末を利用して修復なった住家を訪れて見ました。

 入り口を入ると、以前に比べとても明るい感じに仕上がっています。玄関ホールの壁には、復元事業に多大の貢献をした第一生命の単独の銘板や寄付をした個人・企業・各国のモーツァルト協会などの名前を刻んだ2枚の大理石の銘板が取り付けられています。総額380万円を寄付した日本モーツァルト協会の名前もちゃんとあります。

  0291familienbild_wh_2 展示品も以前より充実。指定のポイントに立つと英語の解説がFMで聞ける装置を貸してくれるのでとても便利です。室内の装飾も天井、壁、床、シャンデリアまで往時のままに再現。あの有名な「モーツァルト一家の肖像」 も壁に掛けられています。モーツァルトとお姉さんのナンネルがピアノを連弾。その横にバイオリンを持つ父レオポルトが座り、壁には、既にこの世を去った母マリア・アンナの肖像が掲げられている構図のものです。

  旅を続けたモーツァルト親子の欧州各国の足跡などハイテクを駆使したディスプレイやSONYの高級機種を用いたオーディオルームなど愛好家から見てもとても興味深い展示となっていました。

  ただ一つ難を言えば、くだんのFMによる解説装置。ドイツメーカーS社のものでしたが、指定のポイントに立ってもいつも解説の途中で、初めに戻るまで待たなくてはなりません。また、指向性のせいなのでしょう、展示物をよく見ようと体を動かすと次のポイントからの音波と混信。フラストレーションが高まります。これを日本の技術で改善すれば大いに喜ばれると思うのですが・・・。 

     甲斐 晶(エッセイスト)            

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