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十時打ち

バレンタインデーの日の夜(2019年2月14日)、後楽園に近いBXホールで開催された古今亭駒治独演会に出かけました。

 

 
20181024213037055駒治が昨年秋に真打昇進を果たしたことをお祝いする会も兼ねていて、開演前と仲入りの時には、お祝い酒が振る舞われていました。
 
この夜は、「We are
イデオッツ!」、「十時打ち」、中入り後に「おこっぺ本線」の3席をたっぷり聴かせてくれました。いずれも、私にとって初めて聴く噺です。
 
最初の演目は、3年前にネタおろししたものの、しばらく寝かせてあった噺で、3年ぶりに復活させたとのこと。
彼のブログによれば、「 選手権優勝を目指す弱小チアリーダー、城北大学イディオッツ。襲いかかるライバルの魔の手、チームの不和。キャプテンのあかりは、孤軍奮闘する。『辛いときこそ笑顔よ!』 青春の輝きが胸を打つ、私たちのグラフィティ。」と紹介されています。
いつものように、テンポの良い語りと、何でもありの思いがけない話の展開に、ついて行くのに苦労しますが、そこここに爆笑のネタが仕込まれていて、笑いの連続でした。
 
二席目の演目は、彼の代表作「戦国鉄道絵巻」に比肩する名作だとかねてから聞いていて、是非とも生の高座で聴きたいものと願っていたので、思わず「やった!」とひとり心の中で叫んでしまいました。

 

実は、この噺を求めて、昨年秋の彼の昇進披露興業を追いかけたのですが、前売り完売のため唯一参加できなかった上野鈴本での披露興行で口演され、見逃してしまったのです。

 

 
Img_3081発売開始の10時にプラチナチケットを必ずゲットする「十時打ち」の名人谷口職員とその娘みどりを人質にして、永遠のライバル上野駅と東京駅が抗争を繰り広げる姿を面白可笑しく描いています。
同じJRの指定席等発券システムMARSを扱った、志の輔の「みどりの窓口」に勝るとも劣らない、抱腹絶倒のお話です。
ただ、「十時打ち」の方は、鉄道マニアの駒治らしく、鉄ちゃん受けのするクスグリが随所にちりばめられていたり、古典落語の「明け烏」のパロディが仕込まれていたりて、会場に爆笑の渦を巻き起こしていました。
 
三席目の演目は、この2月の初めにネタおろししたばかりの噺とか。
廃線になる「おこっぺ本線」をかつて中学生時代に訪れた男性と沿線に住むキツネとの30年ぶりの心温まる交流を描いたもの。
ここでも、古典落語の『子ほめ』のパロディがさらりと触れられていたり、キツネが成城石井の油揚げにはまってむさぼり食べる姿などが滑稽に演じられたりして、大いに楽しみました。
 
念願の「十時打ち」を聴けた幸福感に包まれながら家路に就きました。

 

 

 

甲斐 晶 (エッセイスト)

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