古今亭駒治真打昇進披露興行
この秋、落語協会に属する5人の二つ目が真打に昇進し、その披露興行が9月21日から11月10日に亘って、東京の4つの定席と国立演芸場で行われています。昇進したのは、古今亭駒次 改メ 古今亭駒治. ・柳家さん若 改メ 柳家小平太. ・
実は、11月の半ばまで行われる駒治の真打披露興業の初日は9月23日(日)の鈴本ででした。
当日、4時頃に鈴本の前に出向くと、既に、地下鉄上野広小路駅側の最初の信号のところまでの長蛇の列。
列に加わって30分ほど待っていると、係の方が整理のために現れて、「当日券はありません」とのご宣託。
仕方無く、駒治の人気の凄さを再認識しつつ帰路に就いた次第でした(日曜日と重なったためかも知れません)。
家に帰って早速、ネットでその次の興業である9月27日の前売り券を入手し、ようやく彼の真打披露興行第2夜に参加できたと言うわけです。色物を除いて、プログラムは以下の通りでした。(漫談風だった歌之介の正確な演目名は不明です。)
柳家
花ごめ 「狸の恩返し」
五明楼 玉の輔 「宗論」
古今亭 志ん橋
「熊の皮」
古今亭 菊之丞 「親子酒」
鈴々舎 馬風
「楽屋外伝」
林家 正蔵
「松山鏡」
お仲入り
-真 打 昇 進 襲 名 披 露 口
上-
柳亭 市馬 「やぶ医者」
三遊亭 歌之介
「方言・外国語漫談」
<古今亭 駒次 改め> 古今亭 駒治
「ビール売りの女」
市馬の「やぶ医者」は寄席で聴くのは初めてでしたが(長い噺を良く15分に纏めていました)、その他のものはいずれも寄席の定番で何度も聴いたお馴染みの噺でした。ただ、菊之丞がマクラで、小三治、さん喬、市馬師匠たちが全くの下戸であることを披露していたは興味深かったです。
いずれの師匠方も、試し酒、禁酒番屋、猫の災難など酔っ払いの出てくる噺で酒飲みの酔態を演ずるのが上手いので、これは意外でした。
もっとも、下戸の方が酔客の態様を冷静に分析出来るのかも知れません。
また、いつも噛んだり、滑ったりすることの多い正蔵なのですが、松山鏡は十八番なのでしょうか。大変上手く演じていました。
真打昇進の披露口上では、本日の演者のうち、師匠の志ん橋を始め、司式(?)の玉の輔、落語協会会長の市馬、副会長の正蔵、最高顧問の馬風と、お歴々たちが口上を述べていました。
いずれも、ユーモアたっぷりで、こんなに和気藹々とした披露口上を見るのは初めてでした。この間ずっと駒治が顔を上げたまま前方の一点を見つめ続けていたのが印象的でした。
実は、トリの駒治のネタとしては、私がまだ聴いたことの無い、有名な「10時打ち」を期待していたのです。
風の便りによれば、23日に名作「鉄道戦国絵巻」を出したとのことだったので、昨夜は近くの上野駅にちなんだ「10時打ち」をやってくれるのではとの期待がいやが上にも高まったのですが・・・。
結局は、ヤクルトファンである駒治が神宮球場のビール売りの女性たちの壮絶バトルを描いた新作でした。
途中、客席のお客さんによる手拍子の全員参加などもあって、大いに盛り上がりました。 これから「10時打ち」に出会うため、スケジュールの許す限り、鈴本以外の定席での駒治の真打襲名披露興業巡りが始まりそうです。
(この日出た正楽の紙切りで、運良く私のお題「お月見」が採用され、彼の作品を貰うことが出来ました。カミソリで切ったような細やかなハサミさばきは見事なものです。)
甲斐 晶 (エッセイスト)
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