国境なき落語団
落語の魅力を世界に知って貰おうと、外国語の字幕を駆使して落語の海外公演を行っているのが、在日15年のドイツ人女性、クララ・クレフとさん率いる「国境なき落語団 」です。2011年に日独修好150周年を記念して、クララさんの故国ドイツに三遊亭兼好師を派遣して以来、2017年10月までに総計15人の落語家が海を渡って、ヨーロッパ16カ国、4900人の観客の前で日本の古典芸能を披露。公演は大成功で、観客達は毎回日本の独特な話芸の虜になっているようです(上の写真は、ポーランド・ワルシャワ「日本の波」フェスティバルで落語を演じる柳家小せん師匠 =2017年6月。撮影=Maciej Pogorzelski)。
私が、字幕付き海外落語会の存在を知ったのは、現在人気急上昇中の噺家、古今亭一之輔に密着取材してそのプロフィールを紹介した特番でした。正確な番組名は忘れてしまいましたが、一之輔が2016年の秋の海外落語公演に出かけた姿が描かれました。大学で日本語を学んでいる学生達を前にした口演で、果たして分かって呉れるのだろうかと奮闘する様子が放映されたのです。(左の写真は、オーストリア、ウィーン大学での春風亭一之輔師匠の口演=2013年(撮影:キッチンミノル))
私は、二つ目の噺家の中では特に柳家わさびさんに注目していて、彼のツイッターをフォローしています。そこにおいて、今年(2018年)も6月に、橘家文蔵師匠とわさびさんがドイツ・ノルウェー・ポーランドを約10日間に亘って海外落語公演をしていることを知りました。凄みのある文蔵師匠と吹けば飛ぶようなわさびさんの弥次喜多珍道中の模様がツィッターで配信されていて、読んで見るととても面白いのです。是非ともその帰国後の凱旋公演に参加したくなって、早速チケットを購入しました。
このことを、フェイスブックの特定の落語仲間だけに公開されているグループサイトに投稿したところ、仲間のひとりから、この字幕付き海外落語会の活動が、上述した「国境なき落語団」の活動であることを教えられたのです。
彼によると、「今年の欧州公演は文蔵・わさびですが、一之輔・ぴっかりとか、扇辰・小辰とか毎年様々な落語家が行っています。企画の中心はクララさんというドイツ人です。観客の大部分は日本語が分からない中で落語家は日本語で演じ、英語、ドイツ語などの字幕を落語にあわせて出すという公演です。日本での予行演習の落語会で正太郎の「愛宕山」を見たのですが、字幕が大変よくできていました。数年前にはぴっかりさんがパスポートを盗まれて次の公演先に行けるかどうかが危ぶまれたが、総領事がすぐに手配してくれたので何とかなったとか、いろんなエピソードがあるようです。私は残念ながら今年の凱旋公演には行けませんが、会場がユーロライブなので、道中で撮影されたスライドが映されたりして面白い会になるのではないでしょうか。」とのこと。ますます期待が高まりました。(左上は、「橘家文蔵 欧州公演落語会2018」のポスター。)
上述した「橘家文蔵 欧州公演落語会2018」と題したツイッター、@BunzoinEurope では、この海外落語会での公演を経験した噺家、柳家喬太郎、桃月庵白酒、古今亭一之輔の各師匠からの面白コメントが紹介されていたり、遠征資金集めのために制作された手拭い(二種)や缶バッジが披露されていたりするほか、旅先での珍道中ぶりを描いた動画やスナップが時々刻々アップされていました。
左上の画像は、「橘家文蔵 欧州公演落語会2018」の応援手拭いで、イラストレーターとつかりょうこさんの作品。
北欧各地でのお二人の微笑ましいコスプレ似顔絵が満載。にがみばしった文蔵師匠もひたすら可愛らしく、吹けば飛ぶようなわさびさんは文蔵さんよりも二回りも小さいサイズに描かれ、頼りなさそうに文蔵師匠に寄り添う姿が何とも可愛い限りです。



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