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2017年5月

地球をほぼ3分の2周して来たアンティーク・シュガー入れ

ウィーンに駐在していた頃、日本からの出張者を食事に招いたり、友人をお茶に招いたりしたものです。そんな時、食後にクリストッフルの銀製ポットで紅茶やコーヒーをお出しするのですが、お客様には必ず我が家のささやかなアウガルテンやマイセン、ウェッジウッドなどヨーロッパの名陶のコレクションの中から、お好きなデザインのカップを選んで戴いておりました。そして、添えのお砂糖やクリームもやはり銀製の入れ物でお出しして、優雅な気分に浸って戴いたものです。

 

 Sl1600_2そんなわけで、当時、家内は色々な銀製や銀メッキのシュガー入れや茶漉しのセットを収集しておりました。ところが、古希を迎えるに当たって、早めの形見分けをと願って、嫁に行った娘と息子の嫁さんの二人にどのセットが欲しいかサウンドしてみたところ、二人とも同じ英国マッピン&ウェッブ社製(王室御用達)の石炭入れの形をした素敵なシュガー入れを所望し、バッティングしてしまいました。このシュガー入れの凝っているところは、お砂糖を掬うスプーンが石炭スコップの形をしているのです。

 

ウィーンにいた30年ほど前には、紅茶はちゃんとポットに茶葉を入れて出すのが普通でしたので、茶漉しやシュガー入れも需要がありました。実際、我が家の石炭入れ形のシュガー入れは家内に頼まれて英国出張の際にロンドンのリージェント通りのマッピン&ウェッブのお店で求めたものでした。しかしながら今や、簡便にティーバッグで入れるのが普通であり(こだわりの紅茶党にとってはとても我慢がならないのですが・・・)、マッピン&ウェッブ社のHPを見てももう作っていないようです。

 

Il_570xn_1118748579_ef0l_5どうしても同じものをもう一つ欲しいとの家内からの相談を受けて、海外のオークション(ショッピング)サイト、eBayで"Mappin & Webb"及び"Sugar Pot"で検索してみましたが、残念ながらヒットしません。同じ検索単語でGoogle検索してみると、Etsyというこれまで知らなかったオークション(ショッピング)サイトに正に求めていたものが出ていました(上図)。英国からの出品で、アンティークとなっています(商品説明は”A charming vintage hand engraved Mappin & Webb silver plate ’coal scuttle’ sugar bowl with scoop”)。

 

Simg_0888今年の1月中旬にカード決済で購入し、待つこと1ヶ月。2月中旬にようやく英国から商品が届きました。日本の税関で内容確認のために開けられてしまったようで、税関が新たに作ったパッケージの中に送り主のオリジナルの梱包(これまた二重の封筒)が入っていました。三重の梱包を注意深く開封して出て来たのが左の写真の商品で、Estyに掲載されていた上の商品写真とはとても似ても似つかない代物です。

Estyでは、売り手と買い手のコミュニケーションはgmail経由です。早速、売り主に対して、届いた商品がネットに出ていた写真と異なっている旨上の写真を添付してメールで連絡。すると、上の商品は本来米国の買い手が注文したものなのに手違いで私宛に、そして私が注文したものは米国に間違って送ってしまったとの返事。一応申し訳ないとは言っていますが、こんなことは今まで無かったことだと、全く悪びれる様子はありません。日本で同じようなことが起こったなら、「着払いで早速売り主に送り返してくれ。」と言うところだと思うのですが、何と、「誤ってそちらに送った品を米国に転送してくれ。米国に誤って送られたものは、そちらに転送するように言うから。掛かった送料は払い戻す。」との提案。国民性の違いなのかと呆れてしまいました。

250pxhurricaneutahしかし、他に選択の余地はありません。出品者に米国の買い手の送り先を照会したところ、ユタ州のハリケーンという人口約1万4千人の小都市。早速、EMSで発送して、送料が2,000円であった旨を出品者に連絡するとともに、当方の連絡先を米国の買い手に知らせるように依頼しました。

待つこと更に1ヶ月。ようやく3月中旬になって、当初私がネットで注文した品物がユタ州の買い手から届きました。田舎町のためか、緩衝材のポチポチが手近に無いのでしょう。パッケージを開けてみると、コストコで扱っているKirkland印の黄色いハンドタオルに注意深く包まれたシュガー入れが出て来ました。そして、一緒にお手紙と、地元名産のフレーバー付き角砂糖が素敵なガラス容器に入っていました。こうした暖かな心遣いに、出品者の手違いでやや傷ついていた心が癒やされた気がしました。

Simg_0172こちらからユタ州の買い手には、お礼状と共に日本的なデザインの布巾と手ぬぐいをお送りした次第です。

さて、この話には後日譚がありました。英国の出品者から、送料を払い戻すからメールアドレスを教えろというので、これまで連絡用に使用していたgmailのアドレスを教えたところ、そこにPayPal上で払い戻しをするための案内が参りました。

早速、PayPalにアクセスして払い戻し手続きを開始しようとしたところ、PayPal上の私のプロファイルでは、別のアドレスが登録されていたため受け付けてくれません。仕方なく、お客様センターに電話すると、中国語なまりの日本語の女性が応対。一抹の不安がありましたが、指示されるままに本人であること(住所、氏名、生年月日)を証明する書類を電子媒体で送付。一週間ほど経って、自宅宛にgmailアドレスも登録された旨の手紙が届きました。改めてPayPalにアクセスし、払い戻し金を私のアカウントのクレジットとすることが出来ました。ただ、日本円では無く、出品者が指定したポンド建てなのが玉に瑕でした。 

甲斐 晶 (エッセイスト)

 

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