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2013年6月

機内食

長時間にわたる飛行機旅行の楽しみの一つに機内食があります。経費削減のあおりでエコノミークラスでは余り期待は出来ませんが、航空各社とも最近、収益向上のために営業収入の主体を占めるビジネスクラスやファーストクラスでの機内食の質の向上に力を入れ、顧客増加に努めています。例えば、有名料理店のシェフが機内食の監修を行ったりしています。

 スカイトラックス(Skytrax による世界の航空会社の2011年ランキングでは、09_imageaua_2オーストリア航空がビジネスクラスの機内食部門で1位を獲得しています(2位:トルコ航空、3位:カタール航空)。ちなみにエコノミークラスでは、タイ航空が1位(2位:トルコ航空、3位:アシアナ航空)、ファーストクラスではエティハド航空(UAEの国営航空会社)が1位(2位:シンガポール航空、3位:カタール航空)でした。どうやら中東とアジアの航空会社が頑張っているようです。

 オーストリア航空では、その名も「空飛ぶシェフ」(Flying Chef)が機内食に腕をふるっています。通常、機内食のサービスは、客室乗務員Flying_chef_2
が機内食の調理(といっても地上で調理済みのものの再加熱が主体です)と配膳を行いますが、オーストリア航空の長距離ビジネスクラスの場合、ウィーンの有名レストラン、
DO&COで訓練を受けたシェフがギャレーにおいて料理人姿で調理し、盛りつけを見栄え良く行います(こうした作業の場を確保するため、通常よりも広いギャレーが用意されています。)配膳は、客室乗務員が行いますが、顧客に対する料理選択の助言はシェフが行っています。こうしたサービスは乗客にも好評で、その努力が実った結果、ランキング1位の名誉を獲得したのでしょう。

DO&CO
の空飛ぶシェフの構想は既に1996年からあって、最初はチャーター便が主体のLauda_air_logoラウダ航空(有名なオーストリアのF1チャンピオン、ニキ・ラウダーが創業)と連携して実現させました。オーストリア航空の成功にあやかったのか、エティハド航空も昨年初頭から主要なファーストクラスに空飛ぶシェフを搭乗させており、このためシェフ100名を採用するとともに、機内食のメニューを一新。昼間のフライトにはアラビア料理の6皿コースが登場しているそうです。

ExteriorviewDO&COは、シュテファン寺院の真向かいにあるハース・ハウス内でホテルとレストランそれにカフェー/バーを経営しています。ウィーンでの赴任が終わりに近づき、いよいよ去るにあたって、家族揃ってここを訪れましたが、シュテファン寺院を間近に眺めながらのひと時はいつまでも記憶に残るものとなりました。現在、レストランでは、お寿司や刺身も楽しめるそうです。

 この他、DO&COは、新鮮なロブスターや牡蠣などの海鮮料理で有名なレストラン「ケルバン・サライ」や有名なハプスブルグ宮廷御用達のコンディトライ「デーメル」も傘下に収めるなど、手広く経営しています。

ある時、オーストリアの友人からアルベルティーナ美術館に併設されたDO&COのレストランにお招きを受けました。市民公園を見下ろすテラスから、暮れなずむウィーンの夕まぐれを楽しみながらのお食事でしたが、一手間掛けた質の高いお料理の数々を堪能しました。

 ところで、機内の気圧は地上よりも低く、湿度もサハラ砂漠並に極めて低くて乾燥していることから、味覚が大いに変化することが分かっています。実験結果では、地上に比べ塩味や甘みの感覚は半減してしまいます(旨味については地上とあまり変わらず)。その上、再加熱によって食材の水分が大いに失われてパサパサになり、食感も損なわれます。美味しい機内食とするためには、それなりに多くの工夫が必要で、旨味主体の料理(和食)にしたり、スチーム・オーブンを導入して再加熱でもパサつかないようにしたりしているとか。

 機内食がまずいとお嘆きの皆様。スカイラックスのランキング結果を参考に、航空会社を乗り換えて見るのも一案かも知れません。ただ、旅の安全性のランキングではないことにご注意願います。

甲斐 晶 (エッセイスト)

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