« ヴィッレンドルフのヴィーナス | トップページ | ルドルフ・ディットリッヒ »

ダイエット奮戦記

 それは、全て、数年前の夏の日に始まりました。毎年1回、定期的に人間ドックに行くことにしているのですが、お盆休みの前後は比較的空いることから、特にこの時期を選んでいます。行きつけ(?)の人間ドックでは、夫婦一緒に受けるとかなり割引となるので、家内ともども出かけるのが常です。035

 いつもでしたら、検査結果のご託宣は、担当医から夫婦別々になされるのですが、その時は、一緒に結果を聞かされることになりました。その結果、「えっ、そんなにあったの。」と、たとえ夫婦間であってもそれまではマル秘事項であったお互いの体重を知るところとなったのです。しかも、2人とも、標準体重を超えており、次のドックを受けるまでにそれぞれ7kgの減量を命じられてしまいました。250pxhorace_fletcher_1210x300

 さて、どうしたらお金をかけず、面倒なことをしないでダイエットが出来るのか?すなわち、食事の度ごとにカロリー計算をしたり、定期的に運動をしたり、ダイエット用補助食品を摂取したりしなくても済むような方法はないものかとインターネットで検索し、色々なダイエット法を調べてみました。その結果、行き当たったのがフレッチャー法だったのです。

 この方法は、時計商であった米国人のフレッチャー氏が考案したもので、彼はこれで100kgを超える体重を40kgも減らすことに成功したそうです。その物語が日本語で絵本になっていて、優良図書に選定されていることも知りました。

 51dbbyf4l__ss500_ では、一体どんな方法でしょうか。それは、「良く噛んで食べる」とういう、すこぶる単純なものです。ゆっくり食事をすると、血糖値が上がって満腹感が得られるまでに摂取する食べ物の量が少なくて済むという理屈なのです。

これに加えて、毎朝、寝起きに素っ裸で体重を量って、その変化をグラフにつけることも始めました。こうすると、大いに励みになるからです。もうひとつ、時折、己の裸の姿を鏡に映してじっ

くり眺める(しかも、正面からではなく、横向きで!)と良いとのアドバイスがあるサイトに出ていました。しかし、我ながらとても直視するには耐えない姿であって、自己嫌悪に陥るのが関の山なので、これは採用しませんでした。Gpf3photo220070823020126

 さて、その結果、何と、5ヶ月で5kgの減量に成功したのです。フレッチャー法を続けているうちに、胃の大きさ自体が自然に小さくなって、少しの摂取量で満腹となるようになったようです。

しかし、好事魔多し。順調にダイエット作戦が進行中だったのに、長期の国外出張が入ってしまいました。節制はしていても外人に付き合って高カロリーの食事を3度々々、しかもデザート付きでしっかり摂る生活が続きました。体重計が部屋についているような高級ホテルには、逗留していません。帰国後、はやる心を抑えて体重計に乗ってみると、何と出張中に1kgも増加。1ヶ月間の努力が水泡に帰していました。毎朝の体重計測を欠いたためコントロールが効かなかった結果です。

41kbdc9obdl__ss500_ そこで、今度は、携帯用の体重計探しが始まりました。あったのです。両足を乗せる必要があるので、ある程度の大きさは避けられませんが、厚さ1cm、重量1.5kgで、B5型パソコンよりも小振りのものが見つかり、ネット・ショッピングで取り寄せました。ある時計会社製のものです。爾来、国外の会議に出張する際には、スーツケースに忍ばせています。

その甲斐があって、1年後の人間ドックまでに目標を達することが出来ました。

ただし、このフレッチャー法には、欠点があります。物を良く噛むということは、その間、話が出来ないことを意味します。我が家では、夫婦二人が食事中ひたすら黙々と噛み続け、会話の少ない味気ない食卓になってしまいました。

あのフレッチャーさんも、自分のダイエット法を普及するために、全米各地を回ってプロモーションのためのパーティを開催したのですが、こうした事情のために盛り上がりを欠くものとなってしまい、長くは続かなかったそうです。

   甲斐 晶(エッセイスト)

|

« ヴィッレンドルフのヴィーナス | トップページ | ルドルフ・ディットリッヒ »

生活」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« ヴィッレンドルフのヴィーナス | トップページ | ルドルフ・ディットリッヒ »