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It’s A Small World

Disneycala  ディズニーランドの人気アトラクションのひとつに”It’s A Small World”というのがあります。お客がボートに乗りながら、ヨーロッパからアジア、アフリカ、中南米、南太平洋へとミニ世界一周旅行をする間に、世界中の子供たちの可愛らしい人形が、テーマソングである”It’s A Small World”をそれぞれの国の民族衣装姿で歌って、お客を楽しませる趣向になっています。

Its_a_small_world この”It’s A Small World”「世界はひとつ」と訳していますが、この訳を確定するまでには、随分と苦労したのではないかと思われます。というのは、”It’s A Small World”とは、英語の日常会話に良く出てくる慣用句で、「世間は狭いなあ。」というのが本来の意味なのです。これと、小さな子供たちの世界や短時間での世界一周旅行の趣旨を合わせて付けた結果が”It’s A Small World”という命名なのでしょう。

世間は狭いと思わされる体験は、皆さんも多くなさっておられることと思います。旅先で、思わぬ人と再会するというのが、良くあるパターンでしょうか。

Qdscf0220 私の場合、旅の途中でチェコの首都プラハを訪れ、その帰路、ウィーンへ向かう機内で、隣の座席に知人夫妻が座っておられるのを見てびっくり。

先方は、私が就職してまだ間もない頃に仕事の関係でお付き合い戴いた方で、実に25年ぶりの再会でした。私は、外国出張の途上でしたが、先方は、退職後のプライベートな夫婦揃っての旅の終わりのこととか。プラハは、そう滅多には出かけない旅先ですし、しかも同じ飛行機で席が隣り同士になる確率たるや、極く僅かなことでしょう。”It’s A Small World”、「世間は狭いなあ。」と思わされることしきりでした。

 次は、在京のオーストリア公使のお宅にお招きを受けたときのこと。オーストリア航空の東京支店長B氏とその奥さんに初めてお目に掛かったのですがAua、いきなり先方から私に前から会いたかったのだと言われて戸惑いました。訳を聞いてみると、奥様の方が、私のIAEA時代の秘書Ms.Jと極めて親しく、私のことを彼女から詳しく聞いていたというのです。そう言えば、Ms.Jが来日した際に、オーストリア航空の東京支店長宅に逗留していると言っていたのを思い出しました。

B氏とは、その後間もなくして思いがけないところで、再会することになったのです。

当時私は、毎朝、大手町で地下鉄を降り、晴れていれば丸の内から日比谷経由でオフィス街を、雨であれば地下道を30分ほど散歩しながら、事務所に出勤するのを常としていました。途中、ウィンドウ・ショッピングをしたり、銀行や郵便局で用を足したりと、健康の他に実益も兼ねていたのです。9f3a05f0s

オフィスに着くまでに3ヶ所のスターバックス・コーヒー店がありますが、時折、日比谷のお店に寄ることにしていました。私はいつも「こーひやそろ」(エスプレッソのシングルショットを店内で飲むことを指す符丁の表現)と言って、注文をします。お金を払ってから、品物が出てくるカウンターに行くと、思いの外早めに注文の品が出てきました。カップを取ろうとすると、すっと横から大きな手が伸びてきます。何と、B氏でした。彼も私と同じものをいつも注文しており、そのカップは、彼が注文していたものでした。

20070101_152252 彼の事務所が近くにあり、毎朝、ここでコーヒーを飲む習慣にしているとのこと。その日は、私はたまたまいつもよりも早めに出かけ、彼はいつもよりも遅く店に来たため、偶然、鉢合わせした次第だったのです。その後も、何度か同じような状況下で、そのお店で出逢ったりしました。

コーヒーの本場のウィーン子であるB氏がアメリカ資本のスターバックスを愛用しているのも妙ですが、それほどヨーロッパ仕込みの香り高いコーヒーを提供している証でもありましょう。

Starbucks_fs 2004年暮れにB氏夫妻は、任期を終えてウィーンへ。その後来たMs.Jの電子メールによると、ウィーンにもスターバックスのお店がいくつか出来たので、今度、私がウィーンに出かけた時には、みんなでスターバックスで落ち合おうと有りました。

甲斐 晶(エッセイスト)

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