空のサービス
JALが3大テノールを動員して、シート間隔を一層ワイドにした、新たなエグゼグティブクラスの宣伝を始めたのが、1996年の秋のことでした。当時から、エグゼグティブクラスをファーストクラスの快適さに近づけようとするのは世界的な趨勢です。![]()
例えば、その頃、コンチネンタル航空は利用客の少ないファーストクラスを廃し、代わりに55in(イン
チ)[約140cm]間隔のスリーパー・シートをいち早く導入。 これにエアー・カナダ(55in)、TWA(57in)、
アリタリア(50-54in)が続きました。また、
SAS、
KLM、ノースウェスト (1部路線)もファーストクラスを廃してしまいました。
こうなるとファーストクラス席を温存している航空会社にも、そのエグゼグティブクラスの質の向上への競争圧力が加わります。 その結果、エア・フランス、 ユナイテッド、
ブリティッシュ、キャセイ・パシフィックが座席間隔を48-50inに改善。 バージン・アトランティックでは55-60inのスリーパー・シートや機内ラウンジ・バーの創設、マッサージやマニキュアなど美容セラピーの実施、出発・到着の両空港でのリモ・サービスの提供を他社に先駆けて実施しています。こうした各社のサービス競争は利用者にとっては大歓迎です。![]()
そもそもこのエグゼグティブクラスなるものは1970年代半ばまでは存在しませんでした。当時はファーストとエコノミーだけです。しかし、パック・ツアーの進展とともに、エコノミー席を正規料金で利用する人が次第に減少。ほとんどがその2~3分の1以下、時には10分の1のパック料金での利用者です。こうなると、正規料金の客から不満が続出。そこで、座席を少しゆったりさせ、食事もやや上等にし、食器はプラスチックでなく陶器を使うといったエコノミー席とは差別化させたものが登場したのです。
エグゼグティブクラスのサービス内容は各社で異なります。導入当初、エアーフランスでパリ乗り継ぎで一泊するような場合、市内の指定ホテルでの宿泊と空港までの往復のタクシーが用意されました。
シンガポール航空でシンガポール乗り継ぎをした時には、これに加えて市内観光のサービス付きでした。
ユナイテッドでは、夜間フライトで早朝に到着するような場合には、空港近くのホテルが無料で利用できます。かつて、アルゼンチンへ出張した際には、ブエノスアイレスからユナイテッド便でニューヨークに朝の6時に到着。乗り継ぎの全日空便の出発がお昼過ぎでしたので、早速このサービスを利用。空港近くのラマダインにチェックインしてシャワーを浴び、朝食を充分取ってリフレッシュすることができました。またアメリカン航空ではエグゼグティブクラス専用の待合室にはリフレッシュのためにジムやシャワーの設備まで揃っています。日本でならさしずめサウナや温泉施設というところでしょうか。どこかの航空会社で早く始めて欲しいものです。
この他、
フィンエアでは国道16号線内在住者への成田空港までのハイヤーサービス、イベリア航空では早朝便利用者への成田空港周辺ホテルでの前泊サービスなどがあります。手荷物の無料配送サービス、座席の事前指定サービス、専用待合室の利用などはどこの航空会社でもやっています。
さて、どの航空会社に人気があるのでしょうか。昨年7月に英国の航空関係調査会社Airtraxが発表した2007年のWorld Airline Award によると、全世界で93を超える国籍の乗客総数1483万6129人に面接を行い、機内サービスなど35項目についてのアンケート調査の結果、第1位となったのは、 シンガポール航空で、次いで タイ、キャセイ・パシフィック、
カタール、
カンタス、
マレーシア、
エアー・ニュージーランド、 中華、 エミレーツ、英国航空の順。なんと、欧米の航空会社でトップテンに入ったのは、英国航空だけでした。ちなみに、2006年は英国航空がトップ
の座を占め、残りのトップ5は、カンタス、キャセイ・パシフィック、
タイ、エミレーツ航空でした。
私の経験でも、これら東南アジア系の航空会社ではエキゾチックで微笑みを絶やさないスチュアーデスが魅惑的で、お客本位のきめ細かいサービスをしてくれます。その逆に、頑強なおばちゃんスチュアーデスがつっけんどんなまでにてきぱきと食事や飲み物を配布するのが昔のノースウェスト。
以前、アメリカ人の友人にその話をしたら、「そりゃノースワーストだな」と言っていましたが、今はどうなのでしょうか。
甲斐 晶(エッセイスト)
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