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イグアスの滝

 今から10年ほど前になりますが、1年の間に2度もアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに出かけたことがあります(初訪問は「地球の裏側」参照)。2度目は、たまたま会議の後半がブラジルの首都リオ・デ・ジャネイロでも開催されるので、両首都の中間地点、あの大瀑布で有名なイグアスで、会議の前半が行われました。International_hotel_iguazu

 会場は、アルゼンチン側の自然公園内のホテル・インタナショナル・イグアス(現在は、シェラトン系列になったようです)ジャングルのまっただ中にあるので、他にどこへも出かけられません。ほぼ1週間、朝から深夜までホテルに缶詰状態での会議。滝のそばまで来ているのにその見物をする暇もありませんでした。

 そうなると、唯一の楽しみは、3度の食事。滞在中、計8回の夕食のメニューが毎晩違っており、分量、味、栄養バランス、どれを取っても申し分ありませんでした。アルゼンチンは、分厚くて良質のステーキで有名なのですが、牛肉ばかりでなく、豚、鶏、七面鳥、川魚、鮭とバラエティ豊か。しかも、温野菜がたっぷりなのが野菜好きの私にとっては有り難い限りでした。お世話役のアルゼンチン人スタッフの話によれば、肉と一緒に野菜をどっさり食べるのは、何もこのホテルに限ったことではなく、アルゼンチンでは一般的とのこと。お陰で、アルゼンチン成人のコレステロール量は、少ないとか。とても健康に良さそうな食事です。

 さて、ホテルの周辺には、滝までの遊歩道やジャングル内を散策するための小径が設けられていました。ただ、最近、公園を管理するレインジャーの1歳半になる息子がジャガーによって噛み殺されたばかり。 「トレッキングは、午前9時から午後4時30分までに願います。」との掲示がホテル内のロビーになされていましたが、なぜ、午後4:30と言う中途半端な数字なのか。きっと、それがジャガーの出勤時刻なのでしょう。Iguazu3

 さすがに自然公園内にあるホテルです。日本では見かけない珍しい動物が現れ、間近で観察できました。 カラス大でカラフルな羽根と巨大な黄色いくちばしが特徴のひょうきんな鳥、オオハシ。アライグマに似ていますが、Adoバクのように鼻のちょっと突き出ているのが愛くるしいクアティなど。大きなトカゲ、イグアナの類も見かけました。

 ようやく週末に観光の時間が設けられ、会議参加者全員がアルゼンチン側の滝見物に出かけました。滝までの遊歩道が上下2本設けられています。下の道は、滝壺近くまで接近でき、滝を見上げる感じとなります。日本とは地球の反対側にあるアルゼンチンでは、これからが春で雨期の始まり。滔々と流れる滝の水の色は、まっ茶色。お世辞にも綺麗とは言えませんが、その水量と滝の雄大さには圧倒させられます。Cataratas_del_iguazu

 世界一幅の広い滝だそうで、100m程の落差の滝が275本、約4kmにわたって連続しています。水量は、ナイアガラの滝の1.5倍。米国ルーズベルト大統領がイグアスの滝を見て、「可哀想なナイアガラ」と言ったとか。那智の滝や華厳の滝を400本も並べた感じで、とても一枚の写真には収まりません。パノラマを眺めるなら、ブラジル側からがお勧めですし、ヘリコプターからの眺めも圧巻です。Nanbeiryokouiguas1008  

実は、滝の上にも遊歩道の橋が設けられているのですが、足下を濁流逆巻く上を歩くのは、勇気が要ります。何しろ一歩踏み外せばその先は、滝壺へ真っ逆さま。しかも大人がやっとすれ違える幅の遊歩道橋は、見るからに華奢。事実、有名な「悪魔の喉笛」まで延びていた橋は数年前の洪水で流失し、現在は途中までしか行けません。とても日本人なら造りそうもない遊歩道です。ラテン気質の現れでしょうか。Iguazu2 Nanbeiryokouiguas1019

 この他、滝見物には、エンジン付きのラバーボートで「悪魔の喉笛」近くまで出かけるものがありますが、こちらは、濁流と滝のしぶきに弄ばれる覚悟が要り、ずぶ濡れになること必定です。ラバーボートの旅は、滝の上流を行くのもあるのですが、エンジンが故障すればそのまま滝壺へ直行。予備のエンジンを積んでいるとも思えません。このあたり、やはりラテン気質なのでしょうか。

甲斐 晶(エッセイスト)

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