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日本の味覚

 どんなに外国暮らしが長かったとしても、年齢とともに日本の味がどうも恋しくなるもののようです。特に、疲れたり体の具合が悪い時には、日本食でないと胃が落ち着きません。110696_3

 病気で食欲のない時などは、日本人ならお粥やおもゆでしょうが、欧米の人たちは、何を食べると思いますか。 正解は、チキン・コンソメスープにクラッカーだそうです。なるほどと思うのですが、それでもちょっと元気になればハンバーグというのですから、日本人には理解できません。

 そこで、外国に暮らしていると、日本からの来客がお持ち下さる日本の味覚がとても有り難いのです。何を頂戴しても、それはそれで貴重なのですが、どうしてもかさばらずに日持ちするものをと考えてお持ちになるので、どなたからも同じものが到来するということになりかねません。

 定番はお茶と海苔です。我が家のように、これらの消費量が多い家はそうでもないのですが、御家庭によっては、またかと言うところも少なくないようです。日本人会などのバザーで決まって出品されるのがこの二つです。90004532_l

 紀文がレトルトパックの蒲焼きを海外へのおみやげ用に成田空港で売り始めた頃です。来られる方が次から次に蒲焼きパックのおみやげということがありました。お持ちになる方は、きっと高価で珍しいからとのお気持ちなのでしょうが、そうそう毎日蒲焼きというわけには参りません。結局、狭い冷凍庫の奥に山積みとなり、ついには、アナゴの代わりに茶碗蒸しに入られる運命に。そんな変わり果てた蒲焼きウナギを箸で口に運ぶ度に、「お前も落ちぶれたね。」と語りかけたものです。E109_1899_18542932

 虎屋の羊羹も良く戴きました。当方を甘党と見込んだうえで、きっと重いから他の方はしないだろうとの判断でお持ち下さるのでしょうが、お生憎様。お好きな方は別でしょうが、3本も一度に戴いた日には、これまた、押入れ(あちらでは、クローゼット)の肥やしの運命です。「虎屋の羊羹をあちらでは良く戴いたけれど、日本に帰って値段を知って初めて、とても高価なもだと気が付いた。」とは、良く耳にする言葉です。Img1014834590

 それぞれ、好みはおありでしょうが、向こうで生活した身として、滅多に戴かなかったり、頂戴して有り難かったものを挙げてみましょう。まず海産物では、ウニの瓶詰めや明太子。06092702l 明太子は冷凍になっているので、機内で解凍しても旅先のホテルに備え付けの冷蔵庫に入れておけば、悪くなることはありません。タタミイワシやチリメンジャコも貰って嬉しいもの。(海産物の生ものは、やはりちょっと心配です。いつか、アジの干物をお持ちになった方がいらっしゃいましたが、日にちが経っていたのでしょう。すっかり変質していたことがあり、折角のご好意だったのに惜しいことをしました。ゴミ箱に直行でした。)

 甘味では、最中などは余り戴かないものの部類です。Jurakutop 普通、10個か20個の箱入りなので、とても一度には食べ切れませんが、身近の日本人にお裾分けしたり、冷凍にして少しずつ食べるという手があります。三温糖の干菓子なども抹茶のお茶請けには恰好です。余りかさばらないのも利点です。Img854_2

 ワサビ漬けも誰もお持ちにならないものの一つ。開封すると余り日持ちせず、また好き好きもあって難しいのですが、お好きな方には必ず喜んでいただけるものです。

 お子さまのいるお家なら、生ラーメンもお勧め。今や海外の大都市では日本風のラーメン屋のあるところが増えましたが、それでも1杯1500円もする高級品。気軽に家族全員でというわけには行きません。また、日本ソバや稲庭うどんなどの乾麺、半生製品も戴いて重宝しました。おもてなしの最後にお出ししてお客様から喜ばれたり、休日に一腹膨らますのに役立ったりしました。

 色々と書き連ねてきましたが、斯く申す私も海外出張の度に、出張先の日本人向けのおみやげに頭を悩ますものの一人です。こうして用意したおみやげをあちらに着いて先方にお渡ししてほっとするのも束の間。今度は日本へのおみやげに頭を抱えます。海外出張って一体何なのでしょうか。

甲斐 晶(エッセイスト)

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