お手軽バード・ウォッチング
最近バード・ウォッチングをする人が増えましたが、わざわざ野山に出かけて行かなくても、良く気を付けていれば、都心でも身近に色々な種類の野鳥を見ることが出来ます。
郊外のお宅なら庭先に餌台を作って気長に待っていると、やがて鳥たちが見つけてやってきます。餌が確実にあって、危険ではないと分かって貰えるまでには少し時間がかかりますが、辛抱して待つことです。我が家の場合、以前住んでいたマンションのベランダですが、木製の屋根付きの餌台を買ってきて手すりに置いていたところ、一年余り経った冬にようやく野鳥が餌を食べに来るようになりました。自然界に餌が少なくなる冬場は、ベランダや庭先に野鳥を呼び寄せる格好の機会のようです。
当然のことながら餌の種類によってやって来る鳥が違います。初めにむきアワとヒマワリの種を混ぜた市販の餌を置いたところ、まずやって来たのはシジュウカラとスズメでした。 シジュウカラはヒマワリの種をくわえると近くの木の枝に飛んで行って、種を脚の指と杖の間に上手に挟み込み、嘴でつついて種を割って食べています。
スズメのほうはもう少し神経が図太く、団体さんで来訪。しっかり餌台を占領して、嘴を左右に振ってアワだけを選んで食べるものですからヒマワリの種は跳ね飛ばされ、ベランダに散らかり放題で始末が悪くて困ります。スズメ君ご一行様にはお気の毒でしたがアワは止めにしてヒマワリの種だけとさせて戴きました。
次にリンゴとミカンを置いたところ、シジュウカラよりやや大形の鳥が、つがいなのでしょうか、二羽で現われ、やや太くて長い嘴をストローのようにミカンの実にしっかり差し込んで果汁を吸っています。その名前が知りたくて日本野鳥の合の「フィールドガイド日本の野鳥」を求めました。
こちらに気付かれないようにカーテン越しに観察するのですが、なかなかその細部の特徴が掴めません。全体が黒っぽくて胸の辺りがまだらなのはクロツグミに似ていますが、嘴が黄色ではなくて黒くてやや太めなので違います。何度かその姿 を観察し、ようやく頭部が灰色ぽい水色で、その羽毛を逆立てるのがわかりヒヨドリと判明しました。
ベランダでのウォッチングを重ねているうちに鳥の習性があれこれ分かってきます。同じ種類の烏でも個性の違いがあります。例えばシジュウカラは殆どが餌台でヒマワリの餌をくわえると安全のため近くの枝に飛んでいって食べます。これを一度に三回ほど繰り返すのが普通なのですが、中には大胆なのか、あるいは横着なのか、じっくり餌台の屋根の上で食べるものもいます。
鳥も一日三食のようで、朝、昼、夕方の特定の時間帯には給餌に来る鳥のラッシュがあって、餌台の傍で順番待ちをしているのも見かけます。
さて当事の我が家の近くの小川には渡りを忘れたのでしょうか一年中マガモがアヒルに混じって仲良く泳ぎ、冬になるとこれにお馴染みのカルガモや、ぴんとした長い尾のオナガガモが加わって河面は賑やかになります。
朝晩の通勤途上これらの水鳥を眺めていて、ある日アヒルに似た奇妙な格好の鳥を見かけました。羽の色が白一色のものと見栄えのしない白と黒のまだら模様のものの2種類あり、目の周りの顔面が七面鳥のように一部露出していて赤いのが特徴です。その姿はお世辞にもかわいいとは言えず、むしろグロテスク。さすがに「日本の野鳥」には、記載がありません。百科辞典で調べた結果は、バリケン(一名台湾アヒル)でした。
ペルー原産の野生種が家禽化され、新大陸発見とともにヨーロッパに入り(その名前はオランダ語bergeendに由来)、その後台湾に伝来。丈夫で飼い易く、暑さに強く、藻や草を食べるのでこの川の浄化のため数年前にアヒルと一緒に放されたとか。ところがこの鳥が増え過ぎて、その強い飛翔力で川沿いのマンションの3階のベランダまで出かけてのフン公害。爪が鋭いので駐車中の車に乗って車体を傷つけたり、車道を我が物顔で横行するので今やすっかり厄介者扱いです。ものごとすべて中々思うようには行かないもののようです。
甲斐 晶(エッセイスト)
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