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雲助タクシー

前回(海外ではご用心)は海外の旅先でのトラブルの実例を紹介してみましたが、今回はタクシーを巡るものに絞ってお話ししてみましょう。In

 出張でインドに行ったときのことです。空港でタクシーを呼びましたが、その運転手ときたら、こちらの言うことをなかなか素直には聞いてくれません。Aホテルまでやってくれと頼むのですが、「いやそれよりもずっと良いホテルを知っている。Bホテルの方が飛行場にも近くて断然便利だ。」などと言って少しも譲りません。何度も押し問答の末、「予約してるから駄目なものは駄目。」と語気を強め、やっと相手が承服。きっとBホテルにお客を紹介するとリベートが貰えるのでしょう。かくしてAホテルにやっと着いたのですが、今度は料金で一悶着です。料金メーターを倒さずに走ったので変だとは思ったのですが、結局、ガイドブックに書かれた標準料金の2倍以上の請求。口論の末、ホテルのドア・マンに空港からの妥当な料金を確認してそれだけを支払い、一件落着でした。

 不当な額の料金を請求する手口は様々。上のように料金メーターを倒さないのが一般的ですが、メーターを倒しても、メーターが壊れているとか、古い料金メーターで数字が正しくないとか、帰りにお客を拾えないから2倍の額を貰うのが決まりだなどといった口実で法外な額を言ってきます。

 白タクにも要注意です。Us ニューヨークのJFK空港は悪名高いのですが、私の友人の場合、アメリカ人の旅客と白タクを初めて利用した際に、たまたま運ちゃんが良心的だったので、次の機会にも気軽に白タクに乗ってしまったのが運の尽き。いくら値切っても100ドル以下になりません。そんなお金はないと抵抗しますが、相手は彼が銀行で100ドル札に替えていたのをしっかり見ていて、いや持っているはずだと少しも譲らず。結局、相手の要求どおり支払う羽目になったそうです。

 私も英国留学の際に、それとは知らずに白タクに乗ってしまい、ひどい目に遭いました。Uk 40年も前のことで、飛行機は南回り。一昼夜以上かかって、ようやくロンドン空港に到着。ブリティッシュ・カウンシルの担当者が“Air Terminal”で待っているというので、一生懸命それらしき人を探すのですが駄目。というのも私がいたのは空港(Air Port)で、市内の“Air Terminal”ではなかったのです。今では東京でも箱崎にシティ・エアターミナルがあり、成田の空港とは別ですが、当時はそうではなくて、こんな間違いが起きたのです。

 近くにいた旅行者に状況を説明し、間違いに気づきました。彼がタクシーを呼び、私を誘ったので疑いもせず一緒に乗ってしまいましたが、実はこれが乗り合いの白タク。金銭面での実害はなかったものの、市内までお客をあちこち降ろしながら行くので、とてもスローモー。その上、運転手が道路事情に疎く、道を尋ねながらの運転。目指すエア・ターミナルに到着したのは深夜で、体内時計では完全徹夜をしたのと同じ。疲れました。

 しかし世の中悪い人ばかりではありません。米国留学の際、ロスアンゼルスでの約1ケ月の研修中に、仲間とサンディエゴの動物園まで、当時日本にはいなかったコアラPkoalaface を見に出かけました。20070221_157928 途中、ウオーター・ゲート事件で話題のニクソン大統領の別邸がサクラメントにあるので、そこでグレイハウンド・バスからタクシーに乗り換え。相乗りでハイウェーを飛ばして貰い、別邸の見えるところまで来たので、日本人観光客よろしく、車内からカメラを構えます。運転手は親切にも車を路肩に止め、外に出てシャッターを切るように勧めてくれます。しかし、どこからともなくハイウェー・パトロールが出現。むやみにハイウェーで停車したかどで、運転手は我々の払う運賃を遥かに上回る高額の罰金を取られてしまいました。

 善意の運転手が我々のために罰金を課せられたのは気の毒で、この罰金を仲間で割り勘としました。感激した運転手は、自宅に我々を招いてくれ、お茶をご馳走してくれたうえに、自分はカナダ人の小説家で、副業にタクシー運転手をしているのだなどと身の上話を始める始末。実に旅は道連れ、世は情けなのです。

甲斐 晶(エッセイスト)

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