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続・ウィーンの味覚

前回(ウィーンの味覚)に引き続き、ウィーン旨いもの尽くしの第2弾です。まずは、メインディッシュの続編と行きましょう。

  魚介類がお好きな向きには海から遠い地であるウィーンはお気の毒様です。勿論、冷凍技術と航空輸送の進んだ現代では、お金さえ出せば新鮮な海の幸を Grand Hotel 内にある日本料理店「雲海」やウィーン料理店 Le Ciel、さらには生きロブスターで有名な Kervansaray などで満喫することもできます。しかし、ウィーンの極く普通のレストランではこれは望むべくもありません。いきおい、川魚が主体となります。

  そんな中でお勧めなのが、鱒料理です。Forelle_blau香草と合わせて煮て、鱒の体全体がうっすらと青みがかるよう仕上げた Forelle blau は、溶かしバターで食べるのが普通ですが、醤油を一滴たらすだけで日本人にとっては抜群の味になります。 鱒以外では、Fogosch(川カマス)や Zander(トゲ魚)をニンニクやパプリカなどのスパイスをふんだんに使って仕上げた Zigeuner Art(ジプシー風)もエスニック料理が好きな日本人向きです。市外にある、こうした川魚専門の店 Zum Sachsengangでは、水槽に入った生きた鱒やロブスターをお客が選んで料理してもらうシステム。運河沿いに建てられた田舎屋風の建物の雰囲気と言い、市外にまで足を延ばしてみる価値は大いにあります。

 ウィーンでは鶏肉もお勧めです。ブロイラーが主の日本とは違って、農家の庭先を駆け巡っているような地鶏を使っているのでしょう。Brathuhn16242details_8003 歯ごたえがあるのにジューシィな Brathuhn(ローストチキン)なら期待はずれはありません。Wienerwalt というチェーン店のものが有名です。

 秋から冬にかけての季節なら、ゲーム(野生の鳥獣肉)も悪くありません。市内にある生鮮食料品の市場 Naschmarkt には、その時期になると、雉や野兎、そして鹿までが店頭に吊り下げられ無惨な姿を晒します。珍味を求める向きには最高です。ただし、気を付けないと、野鴨の肉を食べていたら散弾が出てきたなんてことがあります。知らないで呑み込めば鉛中毒になりかねません。

 オーストリアでは1111日の聖マルティンの日に鵞鳥を食べる習慣があります。これは、夜襲を受けた聖マルティンが、騒ぎ立てる鵞鳥のお陰で敵の襲来を察知。危機一髪で助かったという故事に因んでいます。しかし、その故事を記念するのに、命の恩人(?)である鵞鳥の肉を食べるという神経は、日本人である私には今一つ理解できません。

 デザートも種類が豊富で、甘党には魅力です。パイ生地をローラーを使わず、片手でクルクル回しながら極めて薄く仕上げる名人芸で作り上げたアップルパイ(Apfelstrudel)Apfelstrudel アイスクリームや杏ジャムを挟んだクレープにチョコレートソースをかけた Paratschinken、「会議は踊る」で有名なウィーン会議の折りに宰相メッテルニヒのお気に入りとなった Sachertorte(チョコレートケーキ)、甘いアーモンド・ペーストリーにラズベリーなどのジャムを詰め、トップを網目状に仕上げた Linzertorte など枚挙に暇がありません。

 これにトルコ軍のウィーン襲来の際にヨーロッパに初めてもたらされたと伝えられているコーヒーを添えれば申し分有りません。もっともウィーンのコーヒーの種類はおびただしく、ミルクやホイップクリームの混ぜ具合などで色々な名前が付けられていますが、ウィーンナー・コーヒーという名前のものはありません。カフェ・オレがお好きな方なら、ミルクに蒸気を注入して泡立てたものをコーヒーに加えた Melange を。苦みの利いたブラックがお好きなら挽いた豆に蒸気を一気に注いで抽出した Espresso がお勧めです。

 本当は、オーストリアワインについても蘊蓄を傾けるべきところなのですが、料理以上に個人的嗜好が強いもの。一般的には Gruener Veltliner、辛口では Wachau 産の Liesling Burgenland 産の Weissburgunder などが白の代表。赤はオーストリアでは少ないのですが、Blaufrankisch がお勧め。最近では1990年と1992年ものが良いとされているといったことだけに留めておきましょう。

甲斐 晶(エッセイスト)

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