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ウィーンの味覚

 ウィーンに関して良く聞かれる質問で答えに窮するものが3つあります。

 まずは、「今頃はどんな陽気で、どんな服装をしていったらよいでしょうか。」というもの。簡単そうでいながら、実に難問なのです。基本的には大陸性気候なのですが、アルプスの成れの果てに位置するための山岳気候の影響でしょう。変化が激しいのです。今日は夏のような陽気で上半身裸の人を見かけたかと思うと、翌日はしとしと雨で冬に逆戻り。コート姿の人を見かけると言った具合。その日の気温予測が10℃から20℃などといった大雑把な予報が当たり前のところなのです。

 次は、「ウィーンから日本へのおみやげは何がよいでしょうか。」という質問。色々あるのですが、残念なことにどれも結構な値段がするのに、貰った方はそうとは思わないのが難点。アウガルテン磁器しかり、プチポアン刺繍しかり、Kellnerin_torte2 ザッハートルテ(チョコレートケーキ)しかりです。

 そして最後は、「ウィーン料理は何が美味しいですか。」というもの。美味しいウィーン料理は多いのですが、日本人の味覚に初めから合うものが少ないのです。私は「味覚は創られる」ものだと考えています。日本人でも緑茶やワサビの利いた刺身は子供の時には苦手ですが、成長するに及んで次第に好物になります。欧米人も初めは刺身や鮨に抵抗感があっても、何度か食べるうちに病みつきになるもの。今やウイーンの街角のあちこちに鮨スタンドが見られるのには驚かされます。

 そういう前提でウィーンの旨いものを挙げて見ましょう。まずは前菜。季節なら茹でたホワイトアスパラガスが最高。また、下手物好きならタルタルステーキが美味。味付けした生の牛挽き肉をそのままトーストに付けて食べるのですが、西洋の刺身だと思えば抵抗はありません。ただし新鮮な肉でないと食中毒を起こした場合に、七転八倒の苦しみとか。時には命に関わることもあります。

 スープは、コンソメが主で、小さめのクレペの細切りの入った745pxfrittatensuppe Fritattensuppe やレバーを挽いて団子にして入れた Leberknoedelsuppeがお勧め。レバーのあの臭みが苦手という人の口にも合います。あっさり好みには、挽き割り麦の粟団子入りスープ Griessnockelnsuppe も魅力です。

 さて、いよいよメインディッシュ。お勧めは何と言っても Wienerschnitzelでしょう。Schnitzel子牛の肉を薄く叩き延ばして衣を付けて揚げたカツレツで、レモン汁をかけて食べます。Figlmueller というお店が有名で、居酒屋街 Grinzing にある支店に入ると、台所からとんとんと子牛の肉を叩く音が響いてきます。ここのは、大きなお皿の縁からさらにはみ出るほどのジャンボ・サイズが売りもの。日本人には裕に1.5人前は有ります。

 Tafelspitz も人気があります。上質の牛肉を柔らかく茹であげ、これにリンゴとホースラディッシュ(西洋わさび)を合わせてすり下ろしたソースを付けて頂きます。淡泊な味ながら、牛肉そのものの旨味が口中に広がります。フランツ・ヨーゼフ皇帝の大好物だったとか。シェーンブルン宮殿の脇にある Plachuttaというお店が有名で、ここではメニューに牛の解体図が載っていて、お客は好みの部位の肉を指定します。Tafelspitz 茹で上がったTafelspitz が茹で汁ごと大きな銅の平鍋に入れられ、これまた好みの野菜や付け合わせと一緒にテーブルに運ばれてきます。この茹で汁に牛肉からのダシが程良く出ていて至極く美味しいのです。

 エスニック料理を好むのなら Gulasch です。パプリカがたっぷり利いた牛肉シチューとでも言いましょうか。本来はハンガリー料理なのでしょうが、今やれっきとしたウィーン料理として定着しています。有名なお店は、シュテファン寺院近くの Gulaschmuseum です。写真入りのメニューがあって、10種類以上の色々な食材の Gulasch が選べ、それぞれ少しずつ微妙に味が違います。意外にも豆のGulasch がまろやかで秀逸でした。

 この他にも、鱒のフォイル焼き、川カマスのジプシー風、ローストチキンなど紹介すべき美味しいメイン・メニュやデザートが多いのですが、紙数が尽きました。残りは次の機会と致しましょう。                         甲斐 晶(エッセイスト)                             

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