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電話考

 電話は1876年に、G.ベルが発明して以来、技術革新の恩恵を受けて目覚ましい進歩を遂げてきており、より高機能に、より便利になり、今や現代人の生活に欠かせない存在になっています。

 我々の時代に限っても、昔は交換手経由であり、特に国際電話の場合には時間が掛かり、雑音が多くて聞き取り難い代物でした。それが自動交換機の登場や衛星通信の恩恵によって、海外への電話も国内電話のように鮮明な音声で気軽に出来るようになりました。ローミングが可能な携帯電話なら、世界中のどこにいてもコンタクト可能です。

 しかし、これほどまでに便利で故障の少ない日本の電話システムに慣れてしまうと、外国の電話システムに苛立たされることもしばしばです。それはなにも後進国に限った話ではなく、オーストリア、ウィーンのような先進国の場合でもそうでした。

 例えば公衆電話ですが、故障中のものが多くて悲喜こもごもの体験をしたものです。相手に繋がらないのに、受話器を切ってもコインが戻らず、料金をタダ取りされて不愉快な場合もあれば、逆に通話が終わって受話器を切ると入れたコイン以上のお金が戻ってきて「ラッキー!」という場合もありました。日本では相手が不在で電話に出なければ料金は掛かりませんが、オーストリアの場合には呼び出し音を3回鳴らすとしっかり料金を徴収されるので、要注意です。Telwien1

 技術革新の波もひしひしと寄せてはいますが、そのテンポはいまひとつ。テレフォンカードのシステムが導入されつつあるのですが、一般にはあまり普及していません。これはカード自体が日本のように締麗なデザインの付加価値の高いものではなく、無骨で分厚いICカードで携帯に不便なうえ、使える電話器もまだ少ないためでしょう。

 最近ではあまり見かけなくなりましたが、旧式の公衆電話システムには閉口しました。Austcointel300 これはコインを投入しダイアルするところまでは日本と同じですが、コールサインで相手が出たらすかさず黒ボタンを押さないと、相手に繋がりません。相手の声はこちらに聞こえてもこちらの声が相手側に聞こえないので相手は変だなあと思いながら電話を切ってしまうからです。コールサインで相手が出ない場合には赤ボタンを押すと料金は戻ってきます。同じようなシステムは英国にも昔あって、旅行者が大いに戸惑ったものです。

 米国では日本よりも数段階進んでいて、小銭や電話用プリペイド・カードがない場合にはクレジットカードで電話が掛けられます。また加入電話の場合電話料金の請求書は明細付きで、日時と相手先の電話番号、料金が明示されています。掛けた覚えのないものがあれば、クレームをつけるとこちらの言い分を信用して清算してくれます。年頃の子供がやたらと電話するのを防ぐために電話器に鍵が掛かるものもあります。Yun_1660

 何かと便利さの多い電話ですが、こちらの都合にはお構いなく掛かってきたり、間違い電話があるのには閉口です。間違い電話の場合、ただ間違っていますと言うだけでは相手はダイヤルし間違えたのだと思い必ずもう一度同じ番号で掛け直してきます。何番をおかけですかと必ず聞き、当方の番号と合っていれば持ち主が変わったことを告げて、相手にちゃんと認識させれば、二度と同じ番号に掛けてはきません。

 かなり前のことですが、我が家の留守番電話に間違い電話が掛かったことがありました。しかも一度ならずに三度もです。どうも声の感じからおばあさんが友達に掛けているらしいのです。「野方の00ですけれど新井さんのお宅ですか。お留守のようですね。もしもし(留守番電話にこう呼びかけるところがどうにもおかしい)、お元気かなと思ってお電話しました。またご連絡いたします。」

 先方の電話番号を残してくれていないので、こちらから電話するわけにも行かず、相手の思い違いを訂正できずにいました。ある時は息子のいるときに掛かってきて、「おばあちゃん、間違い電話ですよ」と教えたにもかかわらず、しばらくするとまた留守録にくだんのおばあちゃんの声。どうも若干ボケの始まり掛けた老婦人のようでした。暫くは、このおばあさんとお付き合いさせられましたが、その後ぱったりと途絶えてしましました。お元気なのか、気になります。

甲斐 晶(エッセイスト)

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