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ある国際的詐欺事件

 ある日見ず知らずの人からFAXが入って、「おめでとうございます。O夫人の遺言状によりあなたに2,500万円の遺産をお支払いすることになりました。ついては受諾の意志の有無をお知らせ下さい。」と言って来たらどうしますか。何となくうさんくさいとは思いつつも、どうせ損することはなさそうなので「お受けします。」と返事をするのが普通でしょう。こうした心理を巧みに利用した、ナイジェリアと日本が舞台の国際的な詐欺まがい事件が身近でありました。Ng

 上記の内容のナイジェリアからのFAXを受け取ったのは私の知り合いで愛知県A教会のK牧師。発信人は0夫人の遺言状の執行人です。彼女は日本人(旧姓Y本)で、70年代にナイジェリア人と結婚し、74年にナイジェリアに帰国。1年ほど前に逝去。遺言状にA教会に25万ドルを献金するとあり、中央銀行から外貨割当を受け送金手続きを行うので、この遺産を受けるとの意思表明と振込先の口座番号を通報されたい。ナイジェリアは郵便事情が悪いので以後の連絡はFAXに限るとあって、遺言状の写しが添付されていました。

以前ビザで困っていたナイジェリア人を手助けしたことがあり、その関係かなと訝しく思いつつも有難い話なので受諾のFAXを入れると、即座に「了解。早速A教会宛に25万ドルの為替小切手を発出するために、中央銀行に対し外貨割当の手続きを取った」旨の返信がFAXでありました。そして1週間ほど経って、「上記外貨割当の申請は認可されたが、貴教会が宗教団体として登録されている旨の公式文書が欲しい。国税当局に提示し、外国送金に係わる税金を免除してもらうのに必要だ。」とのFAX信が入りました。
 この時点でK牧師から私にどうすべきか相談があり、「法務局で登記簿の謄本を入手し、外務省の領事部などで英語に翻訳してもらったら。」と助言しました。外務省に問い合わせると、翻訳はするがそれで十分かどうか一応ナイジェリア大使館に確認したほうが良いと言われ、先方に電話したところ、同大使館の担当者の反応が意外にも「この遺産の話を本当にお受けになるのですか。やめたほうが良いですよ。」とのこと。その理由を問いただすと、「自分の国の悪口は言えないので、外務省の邦人保護課に聞いてくれ。」と繰り返すばかり。そこで邦人保護課に尋ねて分かったのが、ナイジェリアで多発している国際的詐欺事件で、その手口は多様ですが、以下がその代表例です。419sample

①自分は政府の役人で、大規模な石油契約の手数料として大金(数百万~数千万ドル)を入手。立場上外国に口座を設けて送金は出来ない。名義を貸してくれれば謝礼として2~4割を贈呈するともちかけ、相手が興味を示すと外国送金の許可を得るために関係省庁に手数料を支払う必要があるとして、数百万~数千万円の前払いを要求。これを払い込むと以後連絡は途絶。

②「多額の商品を購入したいが政府の承認を得るので担当者を派遣されたし。政府が本取引に関与してるのでビザは不要」ということで、担当者がナイジェリアに到着すると、ⅤIP並みにビザなしで通関し、「役人」の案内で「政府宿舎」へ。そこで一変して、「ビザなしで不法に入国したので大金を払わなければ出国出来ない」として現金を奪われたり、日本からの送金を強要される。

そこで、K牧師には「いずれ相手が尻尾を出すだろうから様子を見たら。」と助言。案の定その2日後に「9,900ドル送れ」とのFAXが入りました。「25万ドルの外国送金に対し1割(25,000ドル)を国税当局が課税する。相手は宗教法人だからと説明したが駄目で、取敢えず0夫人の遺産残額から15,100ドルを立て替えた。差額の9,900ドルを支払えばA教会宛の25万ドルの小切手を郵送できる。調停委員会に提訴すれば当方の主張が認められ、25,000ドルの税金は戻ってくるので、その暁には9,900ドルを返すから。」というのです。Vol47_01

その後放っておくと、あれほど矢の催促だったナイジェリアからのFAX信も途絶えました。きっともう脈がないと思われたのでしょう。皆さんもどうぞお気を付け下さい。           甲斐 晶(エッセイスト)

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