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語学力

 海外赴任を前にした知人や友人から、学齢期の子供を現地校に入れようか、日本人学校にしようか、それともインターナショナル・スクール(英語)にしようか迷っているけれど、どうしたら良いだろうかと相談を受けることがままあります。

 そんなときに申し上げるのは、子供の年齢が帰国後に10歳(小学校4年生)以下であればせっかく外国語を覚えても、日本に帰ってくるとすっかり忘れてしまうので余り期待しない方が良いということです。これは海外勤務を経験した大方の人の意見のようです。

 我が家の経験でも、米国留学当時に1歳半だった娘が2年間の米国生活で英語をベラベラ喋るようになっていたのに、帰国の際にロスアンゼルスからJALに乗ったとたん、乗客が日本人ばかりで、周りが日本語なものですから、以来英語を少しも喋らなくなったということがありました。

 Vislogo ウィーンでインターナショナル・スクールの幼稚園に通っていた息子の場合には、日本に帰国後もその英語の力を維持させようと、帰国子女対象で遊びが主体の英語に親しむクラスに暫く通わせましたが、結局は徒労に終わってしまいました。

 2人とも理屈ではなく生活を通して肌で英語を覚えたわけですが、覚えるのが早かっただけ、忘れるもの早かったようです。しかし子供の年齢が10歳前後ともなると、既に日本語がある程度出来上がっているので、それだけしっかり身に付くということなのでしょう。

 ただ言葉はすっかり忘れてしまったのですが、発音の方はちゃんと搾るようで、2人とも今でもRLの区別はしっかり出来ます。

 語学が出来るかどうかは多分にその人の察しの良し要し、音感の良し悪しにかかっているように思えます。語学力と音楽力や数学力との相関が云々される由縁です。

 我が子の経験を見ても、子供ながらに状況を察しつつ言葉を覚えているようです。息子が英語の幼稚園に行き始めたころ、「英語を覚えた?」と知人が訪ねると、「うん、スリープっておしりをペンペンすることだよ」と答えたことがあります。変だなと思い「どうして」と尋ねると、「だってお昼寝の時に目を開けていると、『スリープ』と言いながら、先生がおしりペンペンするんだもん」との答え。子供ながら自分の置かれた状況から、相手の発した言葉がどういう意味かを頭をフルに回転させながら察しているようです。

 音感について言えば、こんなことがありました。やはり彼が英語の幼稚園に行き始めたころです。毎日のようにマザー・グースを遊び歌にしたものを新たに覚えて来ては披露してくれます。ある日「バー・バー、タクシー、ヘリヘリ・オー」と得意げに新しく覚えた歌を教えてくれるのですが、意味が良く分かりません。そこで家内が父母会の折に、幼稚園で『タクシーの歌』を教えているのかを尋ねると、先生は口をポカン。家内が息子の歌う節回しで「バー・バー‥・」と歌い始めると、先生はおなかを抱えて大笑い。本当の歌詞はBaaBaaBlack SheepHave you any wool?”というものだったのです。55064149 これがきっかけでマザー・グースの英語版を買い求め、息子が覚えて来る歌の解読に当たるようになりました。

 英語の句をそれに似た発音の日本語の句に置き換えていたわけで、これは大人でも良くやる手です。戦後の占領時代に、“General MacArthur”を「蛇の目傘」と覚えたり、ロンドン在住の日本人が“West Kensington”を「上杉謙信」と覚えたりするのがその例です。アメリカ人も「行って参ります」を‘‘Itchy Mighty Mouse’’と覚えたりするそうです。

 しかし音感が悪いととんだ失敗をするようで、日本人が米国旅行に出かけ、機内でアメリカ人のスチュワーデスに“One Beer”と何度頼んでもミルクが出てきたり、コーラを頼んだのに珈琲が出てきたという失敗談は枚挙に暇がありません。

 どうも語学上達のためには口や耳が固まらない若い内にやるのが一番というのが結論のようです。            甲斐 晶(エッセイスト)

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