世界の常識・日本の非常識
今回は前回(日本の常識・世界の非常識)とは逆に欧米人には極く当たり前の行動パターンや習慣が日本人の常識からは抵抗感があって受入難い例を挙げてみましょう。
まずは陽気がよくなるとすぐ裸になりたがることでしょう。高緯度のため冬が長く、年間の日照量が少ないので、冬が明けると短い夏の間に少しでも日の光を肌に吸収しておこうとせっせと日光浴に励みます。彼らはメラニン色素が少なく、陽に当たってもなかなかこんがり狐色にはならず赤くなるばかり。そこで男も女も競って上半身裸になって肌を焼くのです。もっとも、公園の芝生の上で日光浴に勤しんでいるのは白人ばかりで、黒人はあまり見かけません。
他人に裸を見られること自体にそれほど抵抗感がないのでしょう。ウィーンのドナウ河畔の公園の一角にはヌーディスト用の水浴場がありますが、彼らは大胆にも一般用の地区にまで侵出。彼らに囲まれると水着をつけているこちらのほうが異常に見えてくるから不思議です。ドナウ河畔のレストランのテラスで食事をしていると、いきなりトップレスのうら若い女性が隣のテーブルに座ってきて、目のやり場に困ったこともありました。
また、市内のサウナでは曜日によって「家族の時間」が定められていて、この時間は男女混浴。日本と違ってお互いに素っ裸で、タオルで体を隠すこともしません。もっともこれがお目当てでサウナ通いに精を出す日本人もありましたが・・・。
日本人にとってはいささかお行儀が悪いと思われることにも割と無頓着です。今や日本でも立食パーティは定着しましたが、初めのうちは立ち食いで、しかも口にものを入れながら話をするという形式に日本人はずいぶん戸惑ったものです。この延長線上にあるのが、ものを手づかみで食べる、他人の食べかけや飲みかけのものを平気で食べたり飲んだりする、道を歩きながら食べるなどです。
ある時など、アメリカ人とおぼしき若者がホカ弁を箸で食べながら歩道を歩いているのを見て、ついにここまできたかと思ったりしました。
日本人の常識からするとアメリカ人はあまり行儀はよくありません。疲れるとすぐ地べたにそのまま腰を下ろします(日本人なら新聞紙などを敷物にするところです)。また、テーブルの上にも平気で腰掛けたりします。米国留学中のことでしたが、大学教授が教壇に腰掛けながら授業を始めたのにはびっくり。
また、アメリカではハイウェイの路肩のレストエリアにはピクニック用テーブルが用意されていますが、食事を終わった家族が今まで使っていたテーブルに腰掛けている光景などきわめて日常茶飯事のことです。
すぐ臭いを喚ぐという欧米人の癖も動物的でいただけません。NHKのフランス語会話でデビューしたフランス人タレントで美貌のD嬢がクイズ番組である品物の正体を当てるのに、鼻をくっつけてしっかり臭いを喚いでいたのは興ざめでした。
名にし負う美人であっても、本能には逆らえないのでしょう。
鼻のかみ方も男女を問わず実に豪快です。日本人なら鼻紙(ティッシュー)で遠慮がちにするところですが、彼らはハンカチをやおら取り出すと未使用部分を探してこれを鼻に押し当てて、片手で(ここも重要なポイントです)上手に左右の鼻孔を交互に塞いで思いっきり力強くかみます。この際に鼻の構造の違いによるのでしょう、実にけたたましい音がします。“blow one’s nose”というのが「鼻をかむ」に対応する表現ですが、“blowとはラッパを吹く場合にも用いる動詞ですから、そのすさまじい音がご想像いただけるでしょう。ちなみに、「鼻をチンとかむ」は“blow one’s nose with a loud trumpeting noise“(ラッパのような大きな音を立てて鼻をかむ)と言います。
最近の日本人の若者の行動パターンを見ると、歩きながら食べたり、他人の飲みかけを平気で飲んだり、地べたに座ったりと欧米人との差が見られなくなりつつあります。しかしいかに国際化が進んでも美人が音を立てて鼻をかんだり、臭いをすぐ喚いだりというのは願い下げにしたいものです。 甲斐 晶(エッセイスト)
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