『メルカリ』デビューして約1ヶ月。断捨離の一環で始めたのですが、これまでに29点出品して、22点が売れたのでそこそこの成績です。
『メルカリ』は、スマートフォンから簡単に商品を出品・購入することができ、また、配送業者やコンビニと提携していて、極めて簡便な方法で配送できます。また、購入時はクレジットカード・コンビニ・銀行ATMで支払いでき、品物が届いてから出品者に入金される独自のシステムなので、安心です。こうして、売り手にとっても買い手にとっても、とても便利なのです。(メルカリは、PCサイトにも対応しています。)
「限りある資源を循環させ、より豊かな社会をつくりたい」。これが創業者、山田進太郎氏が世界一周の旅で抱いた問題意識で、そこから2013年に生まれたのがフリマアプリ「メルカリ」なのです。早くも2016年には黒字化、2018年6月にはマザーズに上場するに至っていて、海外展開にも積極的です。国内でメルカリは「フリマアプリ」を運営する企業の中では圧倒的1位であり、2位以下の企業を大きく引き離しています。2021年第1四半期において、GMV(流通取引総額)は1,706億円、MAU(月次アクティブユーザー:1ヶ月以内に1回以上『メルカリ』を利用したユーザー )は1,755万人となっています。
メルカリを実際に使って見て感じたのは、その簡便さです。出品する場合、「出品」のアイコンをタップすると、アプリから写真を撮るように促されるので、スマホで商品を撮影してアップします。次いで、アプリの指示に従って、商品説明、配送方法、商品価格を決めて、「出品」のアイコンをタップすれば、もう出品完了。これまでの経験で、最短記録は、出品して1分も経たないうちにSOLD(売却済み)となりました。余りの簡単さにびっくりです。
「らくらくメルカリ便」や「ゆうゆうメルカリ便」を使うと、発送も簡単。アプリの指示に従って、バーコードやQRコードを作成しさえすれば、梱包した商品をコンビニに持参して、このコードを提示するだけで、あとはコンビニ任せ。しかも、売り手も買い手も匿名での発送が可能です。また、全国一律料金で、通常の宅配便の料金より割安(最大69%オフ)でお得です。
メルカリのビジネスモデルは、売り手から商品価格の10%の手数料(及び配送料)を徴収することです。購入者が代金を支払ったことが確認されると、商品を発送するようメルカリから出品者に通知されます。発送後、商品を購入者が受け取ったことが確認された時点で、出品者のメルカリのアカウントに、商品代金から10%の手数料と配送料を差し引いた額が電子マネーで振り込まれるのです。代金を払ったのに商品が届かなかったり、商品を送ったのに代金が振り込まれなかったりと言ったトラブルが回避されるようになっています。
メルカリの最大の特長は、商品価格を売り手が決められることです。リサイクルショップの場合、値段を決めるのに支配的なのはお店側です。また、ネットオークションの場合には、落札価格が決まるまでに入札というプロセスが必要で、希望価格で売れるという保証はありませんし、落札価格が決まるまでに時間と手間が必要です。
また、メルカリは売り手と買い手をつなぐソフトの運用だけで済み、セカンド・ストリートのようなリサイクルショップとは違い、実店舗のスペースを確保する必要が無く、その運用・維持のコストが不要です。実に上手いビジネスモデルを考えたものです。また、不要品売却アプリ、 ジモティーはローカルコミュニティに限定されるのに対し、メルカリは全国展開です。匿名配送の場合相手の名前や住所の詳細は不明ですが、配送状況の追跡サービスで、配送業者のどの支店に送られたのかは分かります。自分の出品した中古CDが北海道の北斗市まで行ったと知ってびっくりしたことがありました。
フリマアプリ「メルカリ」を実際に利用してみて、創業者の狙いである「限りある資源を循環」することが出来たとの実感を深めています。本来なら、不要品として捨ててしまうものが、メルカリによって必要とする人とマッチングされて、有効利用されます。しかも、ものによっては廃棄するのに手数料が取られるのに対し、メルカリを利用すれば、逆に幾ばくかの販売代金が得られるのですから、一度はまるとやめられません。
これまでに出品して売れたものには、パソコンを買い換えて不要になってしまったパソコン周辺機器などがあります。例えば、WindowsXP時代に使っていたPCには、WebカメラやWiFi機能が付いておらず、後付けでUSB接続によるWebカメラやWiFi子機を購入して利用していました。 ところが、Windows10搭載のPCに買い換えたところ、最初からこれらの機能がPCに付随していたので、これらの機器はお蔵入り。そのままになってしまいました。メルカリデビューするに当たって、不要品は無いかと家の中を物色してみて、これらを見つけ出して出品しました。こんな旧式のものが売れるかどうか半信半疑でしたが、すぐに売却済み(SOLD)となって、びっくりです。Webカメラを購入した方からは、旧式のものの方が画素が粗く、データ送信のボリュームが小さいので好都合とのことでした。捨てる神あれば拾う神ありです。
その他には、WindowsXPでe-Tax申告に利用していたICカード/リーダーがあります。OSがWindows10に変わってしまい、使えなくなったので、これに対応する製品を新たに購入。その結果、以前の製品は不要になってしまいました。ところがメルカリデビュー後、念のためメーカーのサイトを調べてみると、何と旧製品をWindowa10に対応させるためのドライバーが公開されていました。早速これをダウンロードし、旧製品を使って電子確定申告をしてみると、ちゃんとマイナンバーカードを読み取ることが出来たので、早速、この説明をつけて出品。やはり、すぐにSOLDとなりました。この他にも、FAX機を買い換えたため、以前の機種用にスペアで購入していたインクフィルムが3本も不要となり、まとめて出品したところ、これもSOLDになりました(本稿上から4つ目の写真参照)。
1ヶ月という短いメルカリライフで気づいたことがいくつかあります。売れ足の良いものの条件には、①未使用かそれに近いものであること、②購入時の箱や付属品、取扱説明書などが揃っていること、③ブランド品であること、④レアなものであることなどです。実例を挙げるとこうなります。シャープの超音波洗浄機は①、③に当たりますし、ホームパーティで1度使用しただけのハイアールのアイスクリ ームメーカーは①と②、③、家内が出品した米国Wilton社製のアルミ製大型ケーキ型は①と③、モーツァルト愛用のフォルテピアノ演奏による彼のピアノ曲集のCDは④にあたります。いずれもすぐSOLDになりました。アルミ製大型ケーキ型の場合、同時に出品した製造会社不明の新品が未だに売れ残っているところを見ると、ブランドに弱い日本人の一面が垣間見えます。
また、売れ行きをよくするコツもいくつかあります。まずは、①価格設定です。メルカリの検索機能を使って、商品の名称や製品番号などで検索して、出品しようとしている商品と同一か類似のものを探します。そして、SOLDとなった商品のうちの最低価格かそれよりも若干低めの価格に設定します。大きな儲けを狙わず、すぐに売れることを求めるなら、安くすることです。次いで②魅力的な商品説明です。ネット検索 でその商品の特長やセールスポイントなどを調べて、購買意欲をそそる記述にします。さらには、③出品理由(なぜ自分は使わなくなったのか)をポジティブに記載することです。断捨離の一環というのも良いでしょうし、サイズが合わなくなったからとか、ダイエットを始めたから(上記のアイスクリームメーカーの場合)など、商品自体のユーティティを損なわない記述に努めます。
出品してみたものの、よく売れたなあと今でも思うのは、中古の自転車用チェーン・ロックです。ゴリン社製で好みの4桁の数字の組み合わせで解錠できるものです。使用していた自転車を全て廃車にしたので、不要になりました。まだまだ利用できるものなので、捨てるには惜しく、売れるかなと思いつつも出品しました。取り扱い説明書が無くなっていたので、ネットで検索。4桁の数字は、出荷時の「0000」に設定した上、商品説明には、好きな組み合わせに設定する方法を図入り(ネットからダウンロードしたもの)で丁寧に説明しました。これと価格を新品の半額程度したのが効を功を奏したのでしょう。これまたSOLDになりました。
メルカリは、出品だけで無く、購入をそそるような仕組みにも長(た)けています。今だと購入価格の5パーセントが戻って来るなどのインセンティブで、購入を煽ります。こうすれば出品物の販売促進となり、結局はメルカリの収益増に繋がるという極めて上手い手法です。こういう訳で、私が断捨離で出したものもよく売れた次第です。ところが、購入されたお一人の方のプロフィールを読んでみて大笑い。「ただ今、断捨離中です」とあったのです。実にミイラ取りがミイラになってしまっています。私もそうならないようにと自戒しているところです。
甲斐 晶 (エッセイスト)
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